『クローン・ウォーズ』シーズン3 あらすじ紹介と寸評 第12~22話(2 of 2)【アニメ】

アニメシリーズ
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【他シーズン】:劇場公開作品 シーズン1前半後半 シーズン2前半後半 シーズン3前半後半 シーズン4前半・後半

第12話:『ダソミアの魔女』

【冒頭テーマ】:「復讐は破滅への近道である」

【あらすじ】:日増しに実力をつけるアサージ・ヴェントレスは戦地においてドゥークー伯爵の裏切りに遭う。新たなる脅威の芽としてシディアスがその抹殺を命じたのである。怒りに燃えるアサージは復讐目指して故郷の惑星ダソミアへと向かい、ドゥークー暗殺を計画するが・・・。

【感想】:シスは一子相伝を絶対としており、本来ならば候補も含めてシス3人はあり得ない。だからアサージはのちの尋問官たちのようにいわば「鉄砲玉」として使い捨てられる運命だったのですが、それにしても余りに理不尽なシディアスの命令にドゥークーの忠誠心に陰りが窺われます。しかし人心掌握に長けたシディアスがそのことに思い及ばないはずはなく、それすらも織り込み済みの命令だったのではないかと思われます。

そもそも利己主義が「性」とすら言えるシスは有能な弟子による裏切りを当然視している向きがあるように思います。師を乗り越えた者によってシス全体の底上げができれば良しと考えているのかもしれません。事実スピンオフ小説『ダース・プレイガス』でも落盤事故で自らの身も危ういなかでの裏切りを決行したシス卿が、裏切り行為よりも共倒れになりかねない向こう見ずを師から糾弾されています。

シディアスの真意はドゥークー造反のリスクを負ってでもより強力なシス候補を見出すことにあったのではないでしょうか? 例えば毒虫どうしを相戦わせてより強力な毒を作り出すという蠱毒のように。

舞台となる惑星ダソミアやナイトシスターは数々のスピンオフ作品にも登場する古参の設定であり、本シリーズではアサージの出身地&種族とされました。「マザー」と呼ばれる女王が主権を握るアマゾネス型女権社会であり、ナイトブラザーと呼ばれる男たちは彼女らに仕える身分です。現長老マザー・タルジンは過去の因縁によってシスを嫌っており、アサージの復讐を果たすため一肌脱ぐこととなるのでした。

【時系列】:『議員暗殺』>本作>『新たな脅威』

第13話:『新たな脅威』

【冒頭テーマ】:「悪は生まれるものではなく、作られるものである」

【あらすじ】:アサージによる暗殺未遂をジェダイの仕業と考えたドゥークーは、旧知のタルジンを通じて屈強なナイトブラザーのサヴァージ・オプレスを新弟子候補として迎え入れる。彼はあのダース・モールの血縁者であるが、アサージとタルジンによって送り込まれた新たなる刺客でもあった・・・。

【感想】:アサージによる過酷な「オーディション」が大半を占めるエピソード。並外れた技量と勇気、そして人間味を併せ持ったナイトブラザーだったサヴァージは見事試練に打ち勝ちアサージに仕えることとなるが、マザーたちの魔術によって血に飢えた獣として生まれ変わってしまう。ドゥークーの新弟子として凄まじい潜在能力を発揮するのだが、アサージたちのマインドコントロール下にあるサヴァージはどう動くのか。

ダソミアの男たちはダソミリアン・ザブラクと呼ばれ、ダース・モールもこの種族に属します。従来モールは惑星イリドニア出身の「イリドニアン・ザブラク」とされていましたが、本作によって改変が為されたのです。次エピソードにおいて「モールはイリドニア出身では?」というオビ=ワンのセリフはその名残。しかし「イリドニアン・ザブラク」の設定は存続しており、ジェダイマスターのイース・コス、エージェン・コーラーら「タトゥーなしモール」のような風貌の種族がそれにあたります。ややこしや・・・。

【時系列】:『ダソミアの魔女』>本作>『灰色の魔女』

第14話:『灰色の魔女』

【冒頭テーマ】:「悪の道を歩めば、力は得られても、忠誠は得られない」

【あらすじ】:新たな脅威サヴァージの出現を察知したジェダイ評議会は彼の故郷ダソミアへ向かう。一方ドゥークーから任務を与えられたサヴァージは、中立を破棄して共和国へと靡いた惑星トイダリアに向かうが致命的なミスを犯すことになり・・・。

【感想】:ヴェントレスの復讐もいよいよ大詰め。物語終幕にはヴェントレス&サヴァージvsドゥークーの決戦が行われますが、戦いぶりに対するアサージの過剰な叱責に堪忍袋の緒を切らしたサヴァージはマインドコントロールを越える怒りに我を忘れてバーサーカーと化してしまいます。シスの道に生きる者たちの不器用すぎる対人アプローチをこれでもかと見せつけるエピソードであり、結果アサージは命からがら敗走。サヴァージもどうにか追っ手を振り切ってダソミアへと逃げ帰りますが、そこでマザーから驚きの事実を告げられるのでした・・・。

【時系列】:『新たな脅威』>本作>『フォースの惑星』

第15話:『フォースの惑星』

【冒頭テーマ】:「己の罪に向き合うことで調和はもたらされる」

【あらすじ】:辺境からの救難信号を受信したジェダイ評議会は騒然となった。なんとその信号は2000年来使われていない太古のものだったのだ。真相を探りに派遣されたオビ=ワン、アナキン、アソーカはフォースに充ちた謎の惑星モーティスに辿り着き、そこで「フォースの使い手」と名乗る老人と出会う・・・。

【感想】:スターウォーズでもっとも言葉足らずな「フォースにバランスをもたらす」とはなんのこっちゃという疑問に答える傑作のひとつ。ジェダイたちを呼び寄せたのは「フォースの使い手」と呼ばれる老人ファーザーであり、銀河を崩壊させかねない自らの力を恐れてそれぞれライトサイドの化身であるドーター、ダークサイドの化身である息子サンとともに自らを封印していたのでした。

「選ばれし者」の出現を伝え聞いたファーザーは、首尾よく呼び寄せたアナキンに老いゆく自分に代わって子供たちの暴走を制御する役目を担って欲しいと要請します。それこそが彼の運命とされる「フォースにバランスをもたらす」ということなのだ、と。思いもよらぬ展開に困惑するアナキンの選択やいかに。本作に始まる三部作はジェダイやシスといった区分を越えて「フォース」という存在に思いを馳せさせる壮大な寓話と言えるでしょう。

【時系列】:『灰色の魔女』>本作>『光と闇』

第16話:『光と闇』

【冒頭テーマ】:「希望を棄てる者は、命をも棄てる」

【あらすじ】:ファーザーの要請を拒否して帰還しようとするアナキンたちだが、「選ばれし者」とともに銀河を支配する野望を抱くサンはアソーカを人質とすることでアナキンの誘惑に取り掛かる。闇に囚われたアソーカを救うべく奮闘するアナキンとオビ=ワンだがサンのあまりに強力な力の前になす術がない。彼を打ち倒せるのはただ一つ、彼らの祭壇に保管された短剣を用いることだけなのだが・・・。

【感想】:ドーターの語る「さが」という言葉が印象的。サンの邪悪さと利己主義は彼の人格面の問題ではなくダークサイドに生きる者の「さが」に過ぎず、またライトサイドに生きるドーターの善良さと利他主義もまた彼女の「さが」に過ぎないと言います。ジェダイとシスを善良な者と邪悪な者という区分けで語ることの無意味さに思いを馳せさせる台詞でしょう。

また、本エピソードで登場する「モーティスの短剣」は強大なフォース使いたちすら倒すことができるという強力な力を持つ短剣であり、EP9にも「シスの短剣」という形でその存在が引き継がれています。

【時系列】:『フォースの惑星』>本作>『未来の選択』

第17話:『未来の選択』

【冒頭テーマ】:「運命を支配しようとする者に平和は訪れない」

【あらすじ】:ライトサイドの化身ドーターの死によってもはやフォースのバランスを保つことが絶望的と悟ったファーザーはサンをモーティスに封印し続けるためにジェダイたちに立ち去るよう命じる。彼を野放しにすることを良しとしないアナキンはサンとの決戦に挑むが、そこで恐ろしい未来を垣間見ることに・・・。

【感想】:ファンにとっては鳥肌が止まらないエピソード。銀河の破滅と自らの悲惨な未来を避けるため暗黒面を受け入れたアナキンはサンと手を組み、一足早く「ベイダー卿」となってしまいます。

未来とは無数にある「選択」の結果に過ぎないとはいえ、フォース=ヴィジョンによって定まったかに見える未来を垣間見てしまうジェダイはそれによって未来を過信し、それを変え得る自らの選択を過信してしまうのでしょう。それは言葉を変えればフォースよりも自分自身を過信するということであり、それならばフォース=ヴィジョンというものはフォースがもたらす最大級の試練と言えるのかもしれません。

【時系列】:『光と闇』>本作>『鉄壁の要塞』

第18話:『鉄壁の要塞』

【冒頭テーマ】:「生存のカギは適応力にある」

【あらすじ】:戦争の帰趨を左右する重要機密を知るジェダイマスター、イーヴン・ピールが分離主義勢力の捕虜となる。オビ=ワンたちは難攻不落の要塞刑務所シタデルへその救出に赴くのだった・・・。

【感想】:舞台となる要塞刑務所シタデルは、物語を遡ること500以上年前にジェダイの危険分子を収容するために共和国によって築かれたジェダイ用牢獄と呼ぶべき建物と設定されています。位置するのはムスタファーを思わせる火山の惑星ローラ・サユーで、なんとひび割れた地表から星のコアが露出しているという恐るべき惑星。囚人は難攻不落の刑務所から脱出できたとしても過酷に過ぎる環境の地表で立ち往生するしかない、というSW銀河のアルカトラズ刑務所と言ったところでしょう。

戦中には分離主義勢力の手中に落ちたシタデルはドロイド軍団による厳重な警備が敷かれており、生物の侵入は一切不可能。ということで侵入者たちは「生物ではなくなる」ことが求められるのですが、その為にアナキンが提案した手段はなんと・・・。

【時系列】:『未来の選択』>本作>『決死の脱出』

第19話:『決死の脱出』

【冒頭テーマ】:「問題が起こりうるというのなら、それは起きる」

【あらすじ】:捕虜となっていたピールと共和国将兵たちの救出に成功したオビ=ワンたちだが、シタデルからの脱出には想像以上の困難が伴った。過酷な冒険行の中、アナキンは捕虜の一人と運命的な出会いを果たすのだった・・・。

【感想】:イーヴン・ピールと共に捕虜にされていたのはなんと後にグランド・モフとなる「ターキン艦長」。はじめは互いの傲慢さや無鉄砲さに反感を隠し切れない両者でしたが、やがて戦争をめぐるシビアな思想を中心として意気投合して行くことになります。後の両者の関係に思いを馳せる上で非常に感慨深いエピソードと言えるでしょう。ちなみに本エピソードはターキンを主人公とするカノン小説『ターキン』でも再度語られることになります。

【時系列】:『鉄壁の要塞』>本作>『勝利の代償』

第20話:『勝利の代償』

【冒頭テーマ】:「名誉がなければ、勝利も虚しい」

【あらすじ】:大きな犠牲とともにシタデル刑務所からの脱出に成功した一行。しかし彼らの前にジェダイと最高議長の埋められない溝が横たわるのだった・・・。

【感想】:そもそも共和国が大きな犠牲を払う覚悟で彼らの救出任務を決定したのはピールたちが握る「ネクサス・ルート」座標の確保にありました。それは共和国陣営と分離主義陣営の本拠地を繋ぐハイパー・スペース・レーンの座標であり、敵の手に渡れば首都強襲の恐れのある重要機密のためピールとターキンの二人がそれぞれ半分ずつ記憶するという形でその保全に努めていたのでした。

その情報をターキンは最高議長にのみ伝え、ジェダイ側に伝えることを拒否。両勢力の対立関係が改めて浮き彫りになります。なんといっても最大の見どころはジェダイの道にこだわっていては戦争への勝利は覚束ないという考えに傾くアナキンと、ジェダイの軍事センスの乏しさに辟易するターキンとの接近を象徴するラストシーン。やがて滅びゆくジェダイたちをよそに、「新秩序」を担う二人の絆が形成されたのでした・・・。

【時系列】:『決死の脱出』>本作>『囚われのパダワン パート1』

第21話:『囚われのパダワン パート1』

【冒頭テーマ】:「そこに謙虚さがなければ、勇気は無謀に等しい」

【あらすじ】:アソーカがフェルーシアでの任務中、凶暴な爬虫類種族トランドーシャンに誘拐され行方不明となる。狩猟を好む彼らは銀河中から人々を誘拐しては残酷な狩猟ゲームの獲物として玩んでいたのだ。恐るべき「猟場」に放たれ絶体絶命の危機に陥るアソーカは4人のパダワンたちと出会い・・・。

【感想】:主題であるクローン戦争の趨勢には一切関係ないエピソードながら、徹底して無力な状況に貶められたパダワンたちを通してSWの主題「選択」をめぐる葛藤が描かれます。もはや自分たちに抵抗は不可能と、他者の犠牲をよそに生き延びることだけに汲々とする彼らに対し、自分たちが「ジェダイ」であることを思い出させようとするアソーカの言葉はどう響くのか。

EP5に登場する賞金稼ぎボスクがもっとも有名であろうトランドーシャンは「狩猟」を生き甲斐とし、また通過儀礼ともしている種族であることからSW世界の「プレデター」のような人々と言えるでしょう。同じく残虐行為を文化とするタスケン・レイダーたちと同様、単なる蛮族と一刀両断するにはもったいなく、その強烈過ぎる「他文化」に思いを馳せるのも面白いかもしれません。

【時系列】:『勝利の代償』>本作>『囚われのパダワン パート2』

第22話:『囚われのパダワン パート2』

【冒頭テーマ】:「優れた弟子とは、師自らが想い描く理想と重なる」

【あらすじ】:アソーカの励ましによって覇気を取り戻したパダワンたちは自由を取り戻すべく逆襲を開始するが、脱出計画は失敗。しかし途方に暮れる一行の前に意外な人物が現われ・・・。

【感想】:自らの矜持を胸に再び自由を取り戻すべく奮闘する一行に頼もしい味方として懐かしの「あの人」が登場。壮絶な戦いの果てについに自由を取り戻しジェダイ聖堂に帰還したアソーカにアナキンは自らの監督不行き届きを深く詫びますが、アソーカは彼の教えのおかげで生き延びることができたのだとかえってアナキンに感謝します。

師弟ともの成長を感じさせるエピソードですが、自分の手の届かないことに心配や執着を持て余すアナキンの姿は感動的ながらも後の悲劇を予見させるものとして、すべてを知る観客の心に暗い余韻を残します。

【時系列】:『囚われのパダワン パート1』>本作>『海洋惑星の激戦』

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