『クローン・ウォーズ』シーズン2 あらすじと寸評:第1~11話(1 of 2)【アニメ】

アニメシリーズ
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【総評】
アクション重視のシーズン1から趣きを一変させ、スター・ウォーズ物語全体を読み解くためのテーマ性がグッと深くなった印象。

戦争指導に追われ政治的影響力を増しながら緩やかに本分を見失って行くジェダイたちの葛藤、銀河の混沌に輪をかけるならず者たちの台頭、戦闘民族マンダロリアンの関与など、世界観が深く掘り下げられてゆく。

【他シーズン】:劇場公開作品 シーズン1前半後半 シーズン2前半後半 シーズン3前半後半 シーズン4前半・後半

第1話:『ホロクロン強奪』

【冒頭テーマ】:「教訓を学べば教訓を得る」

【あらすじ】:謎のシス卿の依頼を受けた賞金稼ぎキャド・ベインはジェダイ聖堂に侵入。狙うはジェダイのみが扱える記録装置「ホロクロン」。はたして依頼主の目的は?

【感想】ダース・シディアスとキャド・ベインの初接触が描かれる一作。EP2でとくに活用されることもなかったジェダイ聖堂記録保管庫が舞台となり、同じく同作品で「使い捨て」となった司書ジョカスタ、ザム・ウェセルと同じクローダイトの賞金稼ぎという素材を美味しく料理し直した一作でもあります。

【時系列】:『ライロスの解放(S1/21話)』>本作>『破滅の積荷』

第2話:『破滅の積荷』

【冒頭テーマ】:「自信過剰はもっとも危険な不注意である」

【あらすじ】:聖堂からホロクロンを奪取したベインは分離主義陣営の艦隊を率いて逃亡を図る。アナキンとアソーカは共和国艦隊を率いてその追跡に当たるのだが、百戦錬磨の賞金稼ぎはジェダイやクローンすらも翻弄する。

【感想】:何気に印象的なのは若き日のユラーレン提督の苦渋。「戦闘能力が高いだけの軍事素人」の指揮下に入れられた当時の非クローン軍人たちの胸中を慮らされる回でもあります。はっきり言って「未熟者コンビ」と言わざるを得ないアナキン&アソーカ師弟は、練達のベインを前に取り返しのつかない事態を招きかけることになるのでした。

【時系列】:『ホロクロン強奪』>本作>『フォースの子供たち』

第3話:『フォースの子供たち』

【冒頭テーマ】:「過ちを正す一歩は忍耐から」

【あらすじ】:シス卿の新たなる依頼を受けたベインは各地からフォース感応者の子供たちを連れ去った。まもなくジェダイたちに逮捕されたベインだったが、依頼主の名はもちろんホロクロンと子供たちの居所に関しても完全黙秘を続ける。はたして連れ去られた子供たちの運命は?

【感想】:物語最大の火種となるジェダイ評議会・アナキン・パルパティーンの「三角関係」が印象的な回。「オビ=ワン&メイスによるホロクロン奪還」と「アナキン&アソーカによる子供たち救出」の2パートが交互に展開。アナキンが惑星ムスタファ―を訪れ、後に「尋問官」という形で引き継がれることになるシディアスの企みと戦うという展開が実にアツい。

【時系列】:『破滅の積荷』>本作>『7人の傭兵』

第4話:『元老院のスパイ』

【冒頭テーマ】:「真心を疑ってはならない」

【あらすじ】:ジェダイ評議会は元老院議員クローヴィスが分離主義勢力と通じているという情報を得る。真偽を確かめるため評議会はアナキンを通じてクローヴィスの同僚議員パドメにそのスパイを要請するのだが・・・。

【感想】:EP3で顕著に描かれるジェダイによる元老院介入の始まりが窺える回。戦争の泥沼に嵌り込んだ評議会は軍事勢力としての役割を強いられ、徐々に政治的動向に傾かざるを得ない状況に自らを追い込んで行く。スパイという倫理に背く行為を強いる評議会にアナキンが難色を示す描写も後の展開を思えば感慨深い。「元カレ」クローヴィスに近づくパドメに対するアナキンの反応が愉しい一作。EP2と比較にならない「ちゃんとしたロマンス描写」が嬉しい回。

【時系列】:『コルサント炎上』>本作>『砲火を抜けて』

第5話:『砲火を抜けて』

【冒頭テーマ】:「自分自身を信じなければ、他人も信じてくれない」

【あらすじ】:惑星ジオノーシスで新兵器開発が進行中との情報をつかんだ評議会はオビ=ワン、アナキン、キ=アディ・ムンディの三名を同地に派遣した。大部隊を率いて上陸任務を決行する一行だったが、敵の迎撃はあまりに強力で・・・

【感想】:クローン戦争発祥の地ジオノーシスでの二度目の戦い(第二次ジオノーシスの戦い)を描く三部作の始まり。全編を通して派手派手しいコンバットアクションが魅力的な回。激しい迎撃によって撃墜された三将軍は無事合流地点に集結し敵の軍事施設を叩けるのか?

というのが眼目なのだが、SWという物語全体に対する文脈としては、倒したドロイドの数を自慢し合うジェダイたちの姿に「銀河の守護者・調停者」としての気配が微塵もないことが重要ではないでしょうか。確かに死と隣り合わせの戦場において、自らの心を守るためにも思慮に欠ける不謹慎なまでのユーモアは必須のものでしょう。ならばジェダイもまた、常に命の危機に晒され続けることで思慮を犠牲にせざるを得なかったのかもしれない・・・とは穿ちすぎでしょうか?

【時系列】:『元老院のスパイ』>本作>『強襲ドロイド工場』

第6話:『強襲ドロイド工場』

【冒頭テーマ】:「信頼に勝る恩恵はない」

【あらすじ】:ジオノーシスの新たなドロイド工場を破壊すべく、増援として新たなジェダイ将軍が参陣。対する分離主義陣営は新兵器「スーパータンク」を配備。その比類ない防衛能力で共和国軍の攻撃を阻むのだった。

【感想】:度々アナキン&アソーカと行動をともにしたルミナ―ラ・アンドゥリが弟子バリス・オフィーとともに再登場。テーマとなるのは「師と弟子の信頼関係」であり、互いを信頼しつつも口論が絶えないアナキン&アソーカと、穏やかな信頼関係で結ばれたルミナ―ラ&バリスの組み合わせが好対照。

クライマックスにおいて別働任務に就いていたアソーカ&バリスが生死不明となる。

ともに弟子を愛し信頼しつつも、常にその死を受け容れる覚悟の整ったルミナ―ラに対し、何が何でもその救出に執着する(というより死を認めたがらない)アナキンの対比が今回の重要テーマでしょう。どうあがいても愛する者を救おうとするアナキンの熱意の方が観客も感情移入しやすく、実際それによって弟子たちを救出することができたのだから彼の選択の方が結果としては正しかったことになります。しかし人間として当然かつ大切な感情である「愛する者への強い執着」こそが、彼のジェダイとしての人生を終生左右する焦点となり続けるのでした。

【時系列】:『砲火を抜けて』>本作>『恐怖の遺産』

第7話:『恐怖の遺産』

【冒頭テーマ】:「時に助けを受け入れるのは、助けの手をさしのべるより難しい」

【あらすじ】:ジオノーシス制圧に成功した共和国軍の作戦は掃討任務に移行する。しかしジオノーシス大公ポグルの逮捕に向かうルミナーラが突如消息を絶ち・・・。

【感想】:アリやハチを彷彿させるジオノージアンだったが、やはり「女王」が存在したことが発覚。彼女が生み出す卵からは宿主を意のままに操る寄生虫が孵化し、クローンやジェダイたちを苦しめる。

「異星人によって故郷を破壊され”子どもたち”を虐殺された恨み」を滔々と述べる女王の言い分は手前勝手に聞こえますが、確かに分離主義勢力として戦争行為に踏み切ったのはポグルら”子どもたち”の独断であり彼女はただ子を産み育てていただけならば、その憎しみにも同情可能でしょう。

本エピソードで大きな存在感を見せつけた女王ジオノージアンはこの後他作品にも登場するのですが・・・。

【時系列】:『強襲ドロイド工場』>本作>『ブレイン・インベーダー』

第8話:『ブレイン・インベーダー』

【冒頭テーマ】:「愛は同情ではない」

【あらすじ】:ジオノーシス占領を終えた一行に休む間もなく医療物資補給の要請がもたらされる。
任務を委ねられたアソーカとバリスはクローン部隊を率いて任地へ赴くが、船の中にはジオノーシスの寄生虫が紛れ込んでいた・・・。

【感想】映画『エイリアン』を彷彿させる密室ホラー風展開と、一足早いオーダー66的シチュエーションが楽しい回。そしてジェダイの責務と感情のジレンマという重要テーマに触れる回でもあります。

罠に嵌ったバリスは寄生虫によって操られ、アソーカは多くの犠牲を出さないためには彼女を殺さねばならないという過酷な選択を迫られます。ジェダイとしての責務と人としての感情に悩み苦しむアソーカに、アナキンは理解を示しつつ「本能に従え」とアドバイスをするのでした。

これからの二人の歩む道、そしてさらに後の二人の関係に思いを馳せれば複雑な思いなしには鑑賞できない回と言えるでしょう。そして本話で上記のアドバイスをしたアナキンは愛する弟子アソーカを救わんがために「ベイダー卿」の片鱗を覗かせるのでした。

【時系列】:『恐怖の遺産』>本作>『囚われたジェダイ』

第9話:『囚われたジェダイ』

【冒頭テーマ】:「すべてを得ることと引き換えに他の何かを失う」

【あらすじ】:劣勢に立たされた共和国艦隊はグリーヴァスの奇襲を受け、ジェダイ将軍イース・コスが捕虜となる。捕虜虐殺を目論むグリーヴァスの手から仲間を救うべく、オビ=ワン、アナキン、アディ・ガリアの三人が立ち上がった。

【感想】:ストーリー的に大した重要性はないが、オビ=ワンとグリーヴァスの迫力ある本格対決やセリフの応酬が見所。オビ=ワンはドロイド兵を「忠誠心なき機械の兵隊」と揶揄するが、「プログラミングされた忠誠心」を持つクローン率いているに過ぎないジェダイには特大ブーメラン発言だろう。

本エピソードでグリーヴァスは「ジェダイなき未来」を夢見ていることが分かります。思えば「シスの復讐」でグリーヴァス討伐のためにオビ=ワンが首都を離れていなければジェダイ滅亡の決定打となったアナキン転向や評議会の暴発は起こらなかったかもしれないので、彼は自らの活躍によって夢を実現させたと言えるかもしれなません。

【時系列】:『ブレイン・インベーダー』>本作>『逃亡者』

第10話:『逃亡者』

【冒頭テーマ】:「気高さを求めることで人は気高くなる」

【あらすじ】:惑星サルーカマイへと不時着したグリーヴァス将軍を追う共和国軍だったが、捜索中に敵の奇襲を受けコマンダー・レックスが重傷を負う。生死の淵をさまよう彼を救ったのはクローンの脱走兵だった・・・。

【感想】:シリーズを通じて何度も描かれて行く「クローンの自我」を扱う回。主人公となる脱走兵カット・ロクウェインはジオノーシスの戦いの直後「戦争のために作られた」自分の存在理由に疑問を持ちそのまま部隊を離脱した過去を持っています。

「共和国への忠誠」をプログラミングされたレックスは彼を卑怯者と軽蔑しますが、やがて己の信条に忠実かつ勇敢に生きる姿に感銘を受けて行くのでした。新三部作最大の「問題作」クローン・トルーパーたちの人間としての存在意義を問いかける重要回と言えるでしょう。

【時系列】:『囚われたジェダイ』>本作>『奪われたライトセーバー』

第11話:『奪われたライトセーバー』

【冒頭テーマ】:「易いことは単純とは限らない」

【あらすじ】:ならず者の武器商人を追ってコルサント暗黒街へ潜入したアソーカはスリにライトセーバーを奪われてしまう。「ジェダイの命」を取り戻すため暗黒街に精通したテラ・シヌーベの助けを借りるアソーカだったが・・・。

【感想】:盗まれたライトセーバーを追う黒澤映画『野良犬』風ストーリー展開と、若く活気にあふれたアソーカ&老練なテラ・シヌーベという凸凹コンビの活躍が愉しい。

しかしスター・ウォーズ物語全体の文脈として注目すべきは、追跡劇の繰り広げられるコルサントの街中で宣伝されるパルパティーンによるホロヴィジョンの内容でしょう。戦争を通して人々のジェダイへの信用は大きく揺らぎ、パルパティーンは一見その弁護をしている様に見せながら巧妙にその流れを利用していることが明らかです。そして「ジェダイ支援」をダシに、自らが欲する法案の可決を狙っているのです。

【時系列】:『逃亡者』>本作>『デス・ウォッチの陰謀』

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