『クローン・ウォーズ』シーズン1 あらすじと寸評 第1~11話(1 of 2)【アニメ】

アニメシリーズ
記事内に広告が含まれています。

【総評】:記念すべき第1シーズン。「正義の共和国&ジェダイ」対「悪の分離主義者&シス」という勧善懲悪的風味を色濃く残すバトルアクションを主軸としているものの、

  • 共和国の綻び
  • クローンが持つ自我と個性
  • あるべき道を外れて行くジェダイ

など、後に広がりを見せるテーマの萌芽が窺えるシーズンです。

【他シーズン】:劇場公開作品 シーズン1前半後半 シーズン2前半後半 シーズン3前半後半 シーズン4前半・後半

第1話:『待ち伏せ』

【冒頭テーマ】:「偉大な指導者は他者の偉大さを引き出す」

【あらすじ】:共和国と独立星系連合が中立惑星トイダリアの帰順を巡る駆け引きを展開。交渉に赴いたヨーダ率いる共和国部隊はアサージ・ヴェントレス率いる敵の奇襲を受けて絶体絶命の危機に陥るのだった。

【感想】:シリーズ第一話の主役はヨーダ。圧倒的不利な状況にあってもトルーパーたちを理解し鼓舞して勝利に導くヨーダの指導者としての器量を知らしめるエピソード。しかしそもそも「シスの思惑に乗って戦争指導に加担する」という過ちに嵌り込んでいるジェダイの「的外れ感」にも思いを致させるエピソードでもあります。ちなみに本エピソードでヨーダに教えを受けたトルーパーの一人サイアはオーダー66後「ヨーダの死体はみつかりません」とシディアスに報告していた兵。

【時系列】:『補給線をつなげ』>本作>『マレボランス襲来』

第2話:『マレボランス襲来』

【冒頭テーマ】:「信頼は選択ではなく信念である」

【あらすじ】:分離主義勢力は恐るべき秘密兵器を搭載した戦艦〈マレボランス〉によってジェダイ将軍プロ・クーン率いる艦隊を窮地に陥れる。ジェダイ評議会は正体不明の兵器による被害拡大を防ぐため救援を送ることを禁止するのだが、アナキンとアソーカは独断で兵を動かすのだった。

【感想】:SWには艦船の電子システムを無効化してその動作のことごとくを不能にしてしまう「イオン砲」と呼ばれる兵器が登場しますが、本作に登場するのはその超巨大バージョンである「メガ=イオン砲」。艦隊規模で敵の動きを封じてしまう恐るべき兵器ですが、なによりファンを楽しませるのは〈デス・スター〉のスーパーレーザー発射を彷彿させるギミックでしょう。

犠牲の拡大を防ぐため生存者救出を禁じた評議会の判断は結果的に〈マレボランス〉の存在を秘匿したい分離主義陣営の思惑と合致してしまうことになりますが、命令に背いたアナキンとアソーカという跳ねっ返り二人によってその目論見を阻まれたことになります。「正統派」ジェダイたちよりも結果的に正しい判断をすることになった「異端派」ジェダイたちの対比が面白いエピソード。

【時系列】『待ち伏せ』>本作>『マレボランスの影』

第3話:『マレボランスの影』

【あらすじ】:「賢明さを得るには思い上がりを捨てよ」

【あらすじ】:多くの負傷者を収容する病院船を狙う〈マレボランス〉を撃破すべく部隊を率いるアナキンだったが、彼の立てた計画はあまりにも無謀なものだった。

【感想】:個人としては強力な戦士でも無鉄砲が過ぎて兵を率いる資格なしといった感じのアナキンですが、弟子アソーカの忠告を容れて徐々に人々の上に立つ者としての自覚を深めて行きます。師弟であると同時に互いをフォローし合うパートナーとしても機能している二人の関係性が印象的なエピソード。

【時系列】『マレボランス襲来』>本作>『撃破!マレボランス』

第4話『撃破!マレボランス』

【冒頭テーマ】:「自分の立てた計画はよく見える」

【あらすじ】:奇襲によって〈マレボランス〉を撃墜寸前に追い込んだアナキンたちだったが、敵が思わぬ人質を手に入れたことで事態は一変する。偽情報によっておびき出されたパドメたちがグリーヴァス将軍によって〈マレボランス〉に連れ去られてしまったのだ・・・。

【感想】:TVシリーズ初の「オールスターキャスト」が実現。アナキンとパドメ、オビ=ワンとグリーヴァス、R2と3POなど、各キャラクターそれぞれの絆や因縁が絡み合いながら〈マレボランス〉をめぐる激闘に終止符が打たれる。

【時系列】:『マレボランスの影』>本作>『ルーキーたち』

第5話:『ルーキーたち』

【冒頭テーマ】:「経験こそが最良の自信を生む」

【あらすじ】:アウターリムの前哨基地リシ・ステーションでの単調な任務に退屈しきっていたクローン新兵たちは突如分離主義勢力の奇襲にさらされる。基地を奪われ、上官を失い、窮地に陥ったルーキーたちの運命やいかに?

【感想】:登場人物は全編ほぼクローントルーパーのみで進展し、個性あふれる彼らが新たなるSWの「顔」として、従来の「顔」であるジェダイやシスに勝るとも劣らない存在感を証明したエピソードと言えるでしょう。主人公となる5人の新兵(ドロイドバイト、カタップ、ヘヴィー、エコー、ファイヴズ)たちは「ドミノ分隊」と呼ばれ、そのうち数人は本エピソードに留まらず様々な場面で活躍することとなる印象的なキャラクターたち。

本来クローンたちは「戦争の道具として自我を持たない」とされていたにも関わらず、多くの個性やクセのあるクローンたちが誕生することになります。余談ながら「人間性など持たないはずのクローンたちの心に眠る人間性」は「人間性など持たない邪悪なベイダーの心に眠る善良なアナキンの心」と並ぶSWの超重要テーマではないかと思っています。

【時系列】『撃破!マレボランス』>本作>『消えたドロイド』

第6話『消えたドロイド』

【冒頭テーマ】:「友を信じれば、自分も信じられる」

【あらすじ】:敵の猛攻を受けたアナキンは九死に一生を得るが、R2が行方不明となってしまう。捜索に躍起になる彼のもとに代用機としてR3‐S6通称「ゴールディ」が手配されるが、どうしようもないポンコツで・・・。

【感想】:「ジェダイは執着してはならない」という戒律はどこへやらといった感じのアナキンのR2への愛情というよりは妄執が描かれます。「友」への執着によって軍事機密漏洩のリスクさえ犯してしまうアナキンはもし戦時のどさくさという時代背景がなければ早々にジェダイを追放されていたりして・・・という余計な思いを抱いてしまうエピソード。

【時系列】:『ルーキーたち』>本作>『ドロイドの決闘』

第7話『ドロイドの決闘』

【冒頭テーマ】:「友をつなぎとめるのは、頭ではなく心だ」

【あらすじ】:アナキンはついにR2が分離主義勢力の基地に囚われていることを突き止める。軍事機密漏洩を避けるため即時破壊を主張するオビ=ワンに対してアナキンは飽くまでもその救出にこだわり、部下を率いて危険な冒険に繰り出す。一方哀れなポンコツと思われていたゴールディは意外な「活躍」を見せるのだった・・・。

【感想】:多くの部下たちの命を危険にさらして「友のため」に奔走するアナキンの姿はオビ=ワンでなくとも眉を顰めたくなるほど将としてあるまじき姿と言えるでしょう。オビ=ワンが放つ「アナキン、いつかお前は・・・」の一言は登場人物たちの誰よりも私たちに刺さることでしょう。クライマックスを飾る「ドロイドの決闘」はじつに可愛く、必見。

【時系列】:『消えたドロイド』>本作>『型破りなジェダイ』

第8話『型破りなジェダイ』

【冒頭テーマ】:「英雄は時代が作る」

【あらすじ】:先の見えない戦況に多くの惑星が共和国への忠誠を揺るがせていた。パドメは旧知の人物が代表を務め、今まさに分離主義勢力に靡こうとしている惑星ローディアへと向かった。ジャー・ジャー・ビンクスを伴って・・・。

【感想】:誰も望まぬ(?)ジャー・ジャー回。3POと共演ということで完全なる(スベリ気味の)コミカルシーンが多くを占めるエピソード。肝心のシリアス展開は理想主義者パドメへどれだけ感情移入できるかがカギなのですが、個人的にはどの登場人物にもイマイチ感情移入できない辛いエピソード。パドメが「オーノおじさま」と慕い、今後なにかと顔を見せるローディア代表議員オナコンダ・ファーが登場。自国の危機に対して頼りにならぬ共和国への不信と、信頼するパドメの説得の間で揺れる彼の描写が唯一の救いでありました・・・。

【時系列】:『ドロイドの決闘』>本作>『闇のマント』

第9話『闇のマント』

【冒頭テーマ】:「危機に際しては本能を無視せよ」

【あらすじ】:ローディアでの危機を乗り越え通商連合総督ヌート・ガンレイ逮捕に成功したパドメたちは彼を裁判にかけるべく首都コルサントへの移送を命じる。ジェダイ率いるクローン部隊がその任に当たるのだが、護送船ではおそろしい陰謀が企まれていた。

【感想】:共和国内の裏切者の存在によってもはや一枚岩ではない共和国の内情をうかがわせます。久方ぶりの登場のアサージとアソーカたちによる華麗なアクションがあるものの、やはり本エピソードの主人公となるのはキャプテン・アーガイアスでしょう。彼は元老院議事堂などの重要施設警備に当たり、ジェダイと並んで共和国の象徴と称される「セネイト・ガード」の一員。黒幕の手の内で不信と私欲に蝕まれる人々が政府の内奥にまで浸透していることを印象付けるエピソード。

【時系列】:『型破りなジェダイ』>本作>『グリーヴァスのアジト』

第10話『グリーヴァスのアジト』

【冒頭テーマ】:「己の力を制御できる者が一番強い」

【あらすじ】:逃亡を果たしたガンレイを追うキット・フィストーは元弟子パダワンナヴァルとともに辺境惑星へたどり着く。そこに聳える要塞には恐るべき敵が待ち構えていた・・・。

【感想】:ジェダイとシスの師弟関係、というより人間関係の根本的なちがいが印象的なエピソード。互いを尊重し信頼し合うことを旨とするジェダイに対し、シスの師弟はどこまでも互いを利用し、心の奥底に不信感を横たわらせているのです。若きジェダイ、ナヴァルの言動を通じて戦争の激化によって攻撃的性向を強めているジェダイの存在をうかがわせるエピソードでもあります。

「力を力で迎え撃つのはジェダイの道ではない」

「この戦争で我らは自分を見失う恐れがある」

とは、自らの手でジェダイ参戦を招き寄せたヨーダのブーメラン発言。

第11話『囚人ドゥークー』

【冒頭テーマ】:「どんなに困難があろうと、平和に続く道は歩む価値あり」

【あらすじ】:ジェダイたちの追撃をかわし辺境惑星へと逃れたドゥークーは宇宙海賊に身柄を拘束されてしまう。莫大な身代金を要求する海賊を相手にオビ=ワンとアナキンが交渉使節として派遣されるが・・・。

【感想】:本シリーズのみならず他作品へも進出する人気キャラクターの一人ホンドー・オナカーが登場。彼に代表される一切の大義名分とは無縁に戦争をビジネスチャンスと捉え、一貫して利益を追求する「ならず者たち」の姿は憎々しいながら強い印象を残します。共和国&ジェダイ、分離主義勢力&シスとはまったく異なる価値観を持つ第三勢力の登場によって物語世界に広がりを感じさせるエピソード。

Hulu | Disney+ セットプラン にほんブログ村 アニメブログへ

コメント

タイトルとURLをコピーしました