『クローン・ウォーズ』(映画)【アニメ】

アニメシリーズ
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公式による「拡張世界」エクスパンデッド・ユニバース〈未完の大作を繋ぐもの〉

本作が公開されるまでの長い年月、映画作品だけでは語り尽くせぬ密度を持つSW世界を補完するものとして小説・コミックなどを中心に様々な物語が語り継がれ、それらは「拡張世界」と称されて私たちファンを楽しませてくれました。しかしそれらは展開や設定に関してルーカスフィルムの正式な認可を受け、一貫した世界線で描かれたものではあるとはいえ、あくまでも「創作者公認の二次創作」のようなものであることに変わりはありませんでした。しかし本作に始まる長大な『クローン・ウォーズ』シリーズは一味ちがいます。その一話一話を担当した監督たちは様々な顔ぶれがそろったとはいえ、彼らのトップに立つ製作総指揮の役目をジョージ・ルーカス自身が務めたという本家本元のSWの一部なのです。

もちろんSWは映画作品として完結した物語ではありますが、その完成度ははっきり言って誰をも満足させ得るものではありません。魅力あふれる無二の世界観と迫力ある映像は多くの人々を沸き立たせましたが、その物語展開は説得力に欠け、決して特殊な価値観や人格の持ち主ではないはずの登場人物たちに感情移入することはとても難しいものと言わざるを得ませんでした。それはひとえに発端から結末に至るまでの道のりがよく分からないから。つまり「頭」と「尻尾」は完成しているのに、それらを繋ぐ「胴体」がないからなのです。多くのファンたちの顰蹙を買う覚悟で言うならば、私にとってSWとはそのような意味で「未完の大作」といえる物語だったのでした。

本シリーズはそれら「生み出されなかった胴体」を生み出す作品群であり、EP2の終幕で勃発したクローン戦争によって動乱渦巻く銀河で活躍した多くの人々の姿を活写する群像劇なのです。これらの物語に触れることで私たちはEP3で起きた悲劇を真に悲劇として感じることができるのではないかと思います。

あらすじ:ジャバの息子を救え!〈三つ巴の銀河〉

クローン戦争は「銀河共和国」とそこからの分離独立を目論む独立星系連合」(分離主義勢力)との間で戦われましたが、そのすべてがどちらかの勢力に属していたわけではありませんでした。とくに激戦地となった銀河外縁部アウター・リムには犯罪シンジゲートの首領として悪名高いハット族が牛耳る無法地帯が存在し、両勢力ともが無視を許されないほどの権勢を誇っていたのでした。

軽蔑すべき犯罪集団でありながら敵に回せば恐ろしいことこの上ない彼らを、共和国と分離主義勢力はどうにか味方として自分たちの側に引き寄せておくため立ち回るのですが、分離主義勢力は思い切った陰謀に手を染めました。ハット族の首長の一人ジャバの幼い息子を誘拐し、その罪を共和国とジェダイに被せることで両者を完全な敵対関係に陥れようとするのです。

陰謀の首謀者は分離主義勢力の指導者ドゥークー伯爵。陰謀の実行者は彼の弟子であるアサージ・ヴェントレス。陰謀を暴くためジェダイ騎士団が送り出したのはオビ=ワン・ケノービアナキン・スカイウォーカー、そして彼の新たなる弟子アソーカ・タノでした。果たして彼らは怒り狂う犯罪王に対して身の潔白を証明することができるのでしょうか?

特徴と魅力:アクション、クローン、そしてアソーカ

本シリーズのヴィジュアル面での特徴はなんといっても3DCG(3次元コンピュータグラフィック)で形成されたキャラクターたちと、彼らが見せる大迫力のアクションシーンの数々でしょう。映画作品ではほとんどEP2クライマックスとEP3オープニングに集約されるに留まったクローン戦争における様々な戦場での勇壮なバトルが物語全体を彩ります。

また、ジェダイやシスといったお馴染みの登場人物たちが活躍するのはもちろん、本シリーズでは彼らを凌ぐほどの存在感を見せつけるキャラクターとして多くのクローントルーパーたちの存在を忘れることができません。EP2で「自立心を大幅に削られどんな命令にも従う兵士」として語られた彼らは、その言葉を大いに裏切って実に多彩な個性を発揮します。「クローン」という言葉が想起させる画一性とは無縁の、クセのある彼ら一人一人の言動が物語に更なる彩りを添えるのです。

本作で迎え入れられた新たな登場人物として出色なのはやはりアソーカ・タノでしょう。アナキンの弟子として登場した彼女はその破天荒なキャラクターで強い印象を残しますが、このあと長きに渡ってシリーズのキーパーソンを務め、やがて他シリーズにも登場するなど各作品の橋渡し的役割も担うことになり、次第にSW物語全体のキーパーソンの一人にまで成長して行くのです。本作の時点では未だ跳ねっ返りの少女に過ぎない彼女の活躍と成長ぶりもまた、本シリーズの見どころの一つと言えるでしょう。

3DCGにてよみがえったお馴染みのキャラクターたちも、本作にて初御目見えとなるキャラクターたちも、目まぐるしい活躍で私たちを楽しませてくれる「新たなる物語」のはじまりを飾るに相応しい格好の紹介状となる作品。

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