『シャドウズ・オブ・ジ・エンパイア(帝国の影)』〈ルークを狙う影二つ〉【レジェンズ小説・コミック・ゲーム】

レジェンズコミック
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三つの顔を持つ物語

本作は旧三部作特別編公開を間近に控えた1996年に、EP5と6の間をつなぐ「ブリッジ作品」として製作された物語ですが、その最大の特徴は何と言っても小説・コミック・ゲームという三つのメディアに跨って展開した作品であり、しかもそれぞれがそれぞれのメディアの表現方法を活かした魅力を持っているということでしょう。詳細な記述で語られる小説ならではの詳細な人物描写、美麗な絵柄で埋め尽くされるコミックならではの迫力あるアクション描写、キャラクターと一体化して冒険を繰り広げるゲームならではのスリルある没入感。本作の内容を立体的に把握し、愉しむためにはこれら三つの作品のどれが欠けてもいけないのです。

物語は強力な潜在能力を開花させんとジェダイの修行に勤しむルーク、生き別れとなった愛する男を救出せんと奔走するレイア、彼女を命に代えても守らんと奮闘するチューバッカ、かつての裏切りを償うため協力を惜しまぬランドたち主要メンバーが活躍するのはもちろん、各メディア作品ごとの主役級キャラクターたちが強い印象を残します。

小説版主人公:シゾール〈復讐に燃える犯罪王子〉

引用元:https://www.nintendo.co.jp/n01/n64/software/nus_p_nswj/page2.html

詳細な人物描写が魅力の小説版における主人公はなんといってもシゾールでしょう。表向きは惑星ファリーンの王族にして多くの大企業を束ねる銀河有数の大富豪。しかし真の顔は銀河で最も悪名高い犯罪カルテル「ブラック・サン」の首領という恐るべき男です。あのジャバ・ザ・ハットとすら対等以上の関係を築き、皇帝とベイダーに次ぐ富と権力を誇るシゾールは、今また巧みな外交手腕によって皇帝に取り入り、ベイダーすら蹴落としかねない権勢を誇ろうとしています。

しかしその心根にはある凄まじい怨念を隠し持っており、それが本作のメインストーリーを織り成して行くことになるのですが、冷血動物である爬虫類を祖先に持つ彼は決してその怨念に頭を曇らされることなく着々と敵を追い詰める手を打ち続けて行きます。果たして彼の如才ない態度の影に密かに抱かれた憎悪と、その目的とは何なのか。

そういった背景への言及もさることながら、日々ぜいたくな暮らしを楽しみ女性に不自由もしないというジェームズ・ボンド染みた伊達男振りを強調する描写の数々も見もの。少々出来すぎの感はあるものの、SWにはあまり見られないゴージャスな世界観が楽しい一幕。そんな彼が所有する暗殺ドロイドのグリもまた秀逸なキャラクター。完全に人間と同じ機能を備え、誰よりも美しい外見と誰よりも恐ろしい技能を持った彼女はシゾールの懐刀として要所要所で強い印象を残して行きます。

コミック版主人公:ボバ・フェット&ジックス〈暗黒街に閃く影〉

引用元:https://www.nintendo.co.jp/n01/n64/software/nus_p_nswj/page2.html

美麗な絵柄と迫力あるアクションが見もののコミック版主人公はお馴染みボバ・フェットです。小説版ではごく一部で言及されるだけに留まったボバですが、カーボナイト凍結されたハンをジャバ・ザ・ハットのもとに届けて大金をせしめ・・・る前に彼の手柄を横取りせんとハイエナのように群がる商売敵からの執拗な妨害に遭遇することになるのです。登場するのはIG-884-ROMザッカスボスクといったマニア垂涎のあのキャラやこのキャラたち。徒党を組んで襲い掛かる同業者たちを向こうに回し、知略を駆使してどこまでも一匹狼を貫き通すボバの渋い魅力が光ります。

また本作には小説版には一切登場しなかったベイダー直属の諜報員ジックスも副主人公と呼べる存在感を放ちます。過酷なベイダーの下でも仕事をこなせる腕利きであるらしい彼はベイダーの密命を受けて隠密のごとく様々な場所に出没。物語を裏の裏から紡ぎ出す役どころを担って行きます。

ゲーム版主人公:ダッシュ・レンダー〈孤高の反乱者〉

引用元:https://www.nintendo.co.jp/n01/n64/software/nus_p_nswj/page2.html

本作において最も有名なキャラクターはダッシュ・レンダーかもしれません。おそらくほとんどの人々は本作のタイトルを聞けば、かつてニンテンドー64ソフトとして発売されたこのゲーム版を思い起こすのではないでしょうか。本作はその作り込まれたステージの壮大なスケールと、バリエーションに溢れた展開、なによりもSWの風味をまったく壊すことなく踏襲した世界観が相俟って大ヒットを記録し、「30代ホイホイ」の異名を持つほどの名作ゲームなのです。

さぁ、これを読むアラサーからアラフォーのあなた方もIG-88の足音に恐怖したり、不気味すぎるダイアノーガの姿に生理的嫌悪感を抑えきれなかったり、しぶとすぎるグラディエータードロイドに絶望したりした記憶があるのではないでしょうか? 私もまた…あ、脱線失礼。

優れた操縦センスを持ちながら救いようのない自惚れ屋、しかしその奥底には高潔な魂も横たわっており・・・という正直「ハンの代役」といった印象が強い彼ですが、ゲーム作品をプレイし終える頃にはすっかりこの「ハンもどき」に強い愛着を抱くようになっていることでしょう。物語クライマックスに訪れる悲劇によって本作以降姿を見せることのないダッシュですが、本作をやり込んだことのある人々はその真相にたどり着いたことでしょう。ちゃうかぁ?…あ、脱線失礼。

これらの魅力的を備えた各作品群ですが、やはり本作の肝となるのは小説版と言えるでしょう。もちろんシゾールの野望だけではなく、ジェダイとして成長して行くルークの心境と覚悟、彼を執拗に追い回しつつ新たなライバルへの怒りをたぎらせるベイダーの歪んだ思惑と妄執、EP6へと繋がる多くの伏線の回収と、SWファンには嬉しいこと間違いなしの様々な補完がなされているブリッジ作品のお手本のような作品です。

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